ようやく自分の店を構えることができたものの、思うように菓子店の経営が軌道に乗らないと悩まれる菓子業経営者もいるでしょう。経営が菓子作りと違うために、これまでの経験と今必要な知識が違ってくることから発します。
菓子職人として美味しいお菓子を顧客に提供するだけでは、菓子店の経営はうまくいかないからです。
菓子店の売上は、クリスマスなどのイベント時期に大きくなりますが、その分催事に依存しがちという面は否定できません。天候が客足に影響するという面もあります。
こうした売上の管理や需要予測・掘り起こしは、経営者として経験を積まなければうまくいきません。ここでは、菓子店の経営を成功へ導く経営戦略と利益率アップの方法について考察しています。
菓子店の経営は、世の中の変化に大きく左右されます。イベント時期は売上も大きく伸びますが、イベント時期を外すと売上は激減します。また、近年の新型コロナウィルスの影響でも、デパートや土産店などで店舗を出していた多くの菓子店は売上の減少を体験しました。そんなときでも、人件費や原材料費はなかなか下げられないため、黒字化が難しくなります。このような状況が長く続くと、菓子店の存続が難しくなるため、菓子店経営者は商品の利益率と原価率を再考する必要があります。
菓子店の高利益率経営のためには、利益率の高い商品開発が必要です。はじめに行うことは、既存商品の値段の見直しです。20%以下の値上げなら、既存顧客も許容し得ます。
また、高付加価値の商品を開発することも検討してください。このとき、顧客のニーズを探り、求めているものをさらに超えて提供する「アイデア」が大切です。
菓子店では、1日にいくつの菓子を売れば損益分岐点を超えるかを考えて経営することが大切です。ケーキが売れるかどうかにかかわらず、賃料、人件費、原材料費、光熱費はかかってくるからです。そのため、ひと月にかかる経費を超えるために1日いくつの菓子を売ることが必要であるかを計算して経営戦略を立てることが必要です。
菓子店が高利益率経営を行うとき、それぞれの商品の利益率に注目することが大切です。商品の利益率に注目すると、利益率の低い商品を廃止することや利益率の高い商品の開発などの経営課題が見えてきます。
菓子店の決算書を見ると売上が減少する時期も分かります。売上が減少する時期でも一定の利益を上げるため、何らかの施策を実施し、菓子の需要を掘り起こすことが必要です。たとえば、売上が減少する時期には季節のフルーツを活用した新商品を開発して、試食会を開催するなどの施策が考えられます。
菓子店としてほかの店に負けないポイントを作ることも、もちろん重要です。負けないポイントは、以下の3つのポイントから主に秀でているところ、あるいは秀でさせられるところを伸ばしていくと良いでしょう。
立地は大切です。立地が良く人が集まりやすい場所であるならば、店舗の看板による宣伝広告効果を見込めます。
一方で、それほど立地が良くなく、広告を売ったりSNS宣伝などを行っても人が来ないという場合は、狙っているターゲット層と近所のニーズとがかみ合っていない場合もあります。
新たに近所のニーズを分析してあわせていくか、広告の方法がミスマッチを起こしている可能性、うまく広告が機能していない可能性を考えて対策をしたほうが良いでしょう。
店舗の立地が悪くても、スペシャリテ(得意商品)があり、SNSやホームページなどのWEB集客ができれば、客足は安定するでしょう。「このお菓子ならこのお店」と認識されるスペシャリテを作り、集客と店のブランディングも有効です。
付加価値の高い商品を開発すれば、利益率の上昇に寄与するだけでなく、競合の他店との差別化につながります。
たとえば、高級食材を使った菓子を作る、あるいは高級路線のラインナップを作成するということもあるでしょう。
あるいは、ほかにない商品というだけでも、価値を感じてもらいやすくなります。オーダーの写真やイラストをケーキに印刷することで、ほかにないお客様一人のためだけの美しいケーキが生まれます。店のロゴを焼き菓子に印刷して、ブランド力を高めるのも良いでしょう。いずれも、店舗向けのフードプリンターで実現できます。