値上げラッシュが続く昨今、お菓子店でも値上げの動きが高まっています。しかし、値上げは失敗すると売り上げに大きく影響することもあるため、ポイントを押さえて値上げすることが大切です。ここでは、値上げで失敗しないために値上げする際のポイントについて詳しく解説していきます。
外食チェーン店や食品メーカーの値上げの波が来ています。菓子店を含むその他外食産業もその一つです。外食産業の値上げの原因はさまざまですが、ひとつは原材料価格や燃料費の高騰にあります。人手不足からくる人件費の上昇もあり、値上げせざるを得ない状況が続いているようです。
外食チェーンのケンタッキー・フライド・チキンでは、小麦粉や食料油の原材料価格の高騰に伴い、2022年6月以降セットメニューやボックスメニューが30円~40円値上がりしています。カレーハウスCoCo壱番屋でも、食材価格やエネルギー価格の高騰に伴い、2022年6月以降カレーソースが33円の値上げ、一部トッピング類の価格も11円~22円値上げとなっています。
食品価格の高騰やエネルギー価格の高騰、人材不足による影響は菓子店にもダメージを与えており、菓子店を含む外食産業では値上げが続いている状況です。このような状態が続けば、今後もさらに値上りする可能性が考えられます。
現在の情勢を見ると、値上げは仕方がないことともいえます。しかし、値上げをする際にもいくつかのポイントがあります。ポイントを押さえて値上げをしないと、客離れにつながってしまうこともあるので注意してください。ポイントを押さえて値上げをすれば、売り上げアップと利益の倍増、お客さんの増加も期待できるでしょう。
値上げをするときは、自分たちの商品を買ってほしいお客さんを見極めることが大切です。商品を値上げすると、一部のお客さんからは不満の声が上がるでしょう。ここでよく考えてみましょう。商品の価格に不満をいうお客さんに商品を買ってほしいと思う方は少ないはずです。商品に安さだけを求めてくるお客さんは、他の安い店に移っていくことが予想されます。
商品の価格で選ぶお客さんを取り込むとなると、全体的な商品価格を下げる必要があります。価格競争では大手企業に勝つことは難しいため、勝負は困難です。
値上げをすると決めたら、商品を買ってほしいお客さんを間違えてはいけません。自分たちのサービスや商品に適正な価格を支払ってくれる方を、お客さんとして取り込むことです。
値上げすると決めたら、売りたい値段を決める必要があります。値上げをするのであれば、これまで以上に商品に価値を持たせることが重要です。「このような変化があって値上がりしたんだ」とお客さんに価値を理解してもらえれば、値上げは成功になります。
例えば300円のお菓子を値上げして、310円で売るとします。それではお客さんや従業員にとってもただの値上げとなり、不満の声や反対の声も上がるでしょう。値上げをするときは思い切って高い値付けをしてみてください。高い値段で目標をたてると、その商品をよりよくするためのアイデアや付加価値を考えることができるようになります。
菓子店を含む多くの飲食店では、自分たちの商品に本当の価値よりも低く値付けしているといわれています。多くの飲食店や食品業界が価値を低く見積もっているため、お客さんにも本当の価値を理解してもらえていません。
商品の価値をお客さんに知ってもらうためには、使っている材料や工程へのこだわりを伝えること。商品に込めた想いを伝えることが大切です。
接客で価値を伝える工夫をしてみたり、POPやチラシを利用したり、価値を高める取り組みは多々あります。
どんなに商品に自信があって高い値付けをしたとしても、お客さんが払える価格・予算とマッチしなければ、購入にはつながりません。物には相場価格があり、相場を大幅に超えるものは購入されにくい傾向があります。
多くのお客さんは、予算内で買い物をしたいと考えています。予算はピッタリではなく、1,000円~1,300円などざっくり考えている方が多いです。この場合、1,000円の商品は1,300円まで値上げしても購入してもらえるチャンスは変わらないと言う事になり、300円の利益を増加することができます。
どうしても予算内で値上げできない場合は、予算内で購入できる商品も用意しましょう。量を減らしたりすることでも、予算内で商品を創り出すことはできます。
日本で昔から伝わるマーケティング商法の一つに「松竹梅の法則」があります。松竹梅の法則では、売りたい商品の価格設定を真ん中にするだけです。ウナギ屋さんやお寿司屋さんで松・竹・梅のメニューがあったとき、人間の心理で竹を注文する方が多数となっています。この現象を利用すれば、竹の商品にお客さんを導くことができるでしょう。
売りたい商品よりも高い商品を導入して、人間の心理を利用してみてください。この場合、高い商品も全く売れないわけではありません。真ん中の商品が5割程度売れるとすると、一番高い商品は2割程度は売れるといわれています。
値上げに合わせて商品やお店のサービスの質を上げることも重要です。ただ値上げしただけではお店の価値は上がりませんが、商品とサービスの質も向上すればお客さんからも認められる値上げが叶います。
お金をかけずにできることとしては、店の清掃や販売員の接客力の向上です。少し予算を掛けられるのであれば、商品の原材料やパッケージを見直したりすることも、商品の質を上げることにつながるでしょう。
お客さんは商品そのものはもちろん、お店そのものにも価値を見出します。商品やお店のサービスが明らかに良くなれば、購買意欲の増加が期待できるでしょう。
値上げをするとお客さんが離れてしまうのではないかと、不安になる経営者は多いはずです。不安から中途半端な値上げをすると、かえって売り上げは落ちてしまう可能性があります。
10円しか値上げをしなくても、100円値上げをしても、一定数のお客さんは必ず流出します。むしろ細かく値上げを繰り返すほうが、お客さんの流出は多くなってしまうのです。
大幅に値上げをすると、客足が遠のいたとしても売り上げでカバーすることができるでしょう。一度流出したお客さんでも、商品やサービスの質が良ければ戻ってくることも考えられます。値上げをして大幅に売り上げが落ちるのであれば、商品自体の品質に問題があると考えられます。
根拠のある値上げをすれば、客足や売り上げにそれほど大きな影響を与えることはありません。むしろ、細かな値上げを繰り返したり商品の品質を下げる方が、客離れが懸念されます。
値上げは経営の安定化や従業員の賃金アップ、生産性の向上には欠かせません。闇雲に値上げをするのではなく、きちんとした根拠と理念をもって値上げすることが大切です。