子どもの写真を印刷したケーキや、ポップなデザインが人気のハロウィンチョコレートなど、食品に印刷する技術は日々進化しています。
食品への印刷時に活躍するのが、食品用アンカーコート剤です。チョコレートのように油分のある素材に印刷を行う前にアンカーコート剤を塗るとインクが定着し、鮮やかな色で印刷できます。
ここでは、食品に印刷をする時に役立つアンカーコート剤について、使用時の注意点や使い方の流れをまとめました。
アンカーコートとは、印刷用紙にコーティング剤を塗布することです。コーティング剤そのものをアンカーコートと呼ぶ場合もあります。
原紙にインクの密着性が悪いものを用いる場合や、適性が無い原紙に対して、アンカーコートを用いる場合が多くあります。アンカーコートを使用することで、接着原紙と材料の接着性を高める効果が期待できます。下塗りを意味することから「アンダーコート」とも呼ばれています。
食品用アンカーコート剤を使用する時に注意したいポイントを確認しましょう。
食品用アンカーコート剤を塗った後は、印刷前に十分乾燥させましょう。指で触ってべたつきがなくなっていれば印刷ができます。ムラができると、乾燥が不十分な箇所ができてしまうため、アンカーコート剤は均等に塗ることが大切です。
アンカーコート剤の量や食品に含まれる成分にもよりますが、薄く塗った場合は20分~60分程度置くと乾燥します。乾燥させるときは湿度60%以下で風の当たる場所に置いてください。
アンカーコート剤は、十分乾燥させたと思っても、蒸し暑い夏など湿度の高い場所に置くと水分を吸収して膨潤してしまうので注意が必要です。印刷時にインクが滲んでしまうことがあります。また、水分がある食品の場合は、アンカーコート剤を塗っても定着しない可能性があります。
印刷後の食品も湿気は大敵です。食品用アンカーコート剤を塗り、きれいに印刷できた後も、風通しの良い場所での保管が欠かせません。密閉容器に入れてしまうと、インクが滲むことがあるので気を付けてください。
湿気の多い環境で印刷しなければいけないケースでは、風を当てて乾燥させすぐにピロー包装などで包装することで滲みを抑えられるでしょう。
食品用アンカーコート剤の使い方はとてもシンプルです。前述した注意点に気を付けながら次の手順で使っていきましょう。
湿度60%以下の風通しの良い場所で、食品にアンカーコート剤を塗ります。
水分を多く含む食品など、アンカーコート剤を塗っても定着しない場合があるので注意してください。塗りムラができないよう均等に塗りましょう。
アンカーコート剤を塗布した食品を風通しの良い場所に置き、よく乾燥させます。
食品の種類や塗布した量によって異なるものの、20分~60分程度乾燥させましょう。乾燥中の湿度にも注意してください。よく乾燥させてから印刷を行わないと、滲む可能性があります。
食品に塗ったアンカーコート剤がよく乾燥してから、印刷を行います。
食品に印刷できたら、湿度が低く風通しの良い場所に置いて、印刷面をよく乾燥させます。湿度が高い場合は、風をあてて乾燥させても良いでしょう。印刷直後はきれいでも時間の経過と共に滲む食品もあります。時間を置いて確認するようにしてください。