フードプリンターで印刷する対象は、食べ物であるがゆえに、使用するものはすべて食べられるものである必要があります。 フードプリンターで使うインクも食べられるインクでなければなりません。食べられるインク、すなわち「可食インク」とはどんなものなのでしょうか。安全性をはじめ、その特徴に迫ります。
可食インクには、大きくわけて2種類あり、天然色素インクと合成色素インクがあります。
天然色素インクは、植物そのものがもつ色素を抽出してつくるもの。天然の原料を使っているので「天然色素」と呼ばれています。賞味期限が短いのが弱点ですが、天然ならではの優しい発色にメリットがあります。
クチナシやアントシアニンなどの原料を使った着色料は、パッケージ裏の原材料一覧表を見るのが好きな人は目にしたことがあるのではないでしょうか。
対して、合成色素インクは人工的に合成した色素を使ってつくられたものです。天然色素と比べるとインクの乗りがよく、また鮮やかな発色が特徴です。色鮮やかな印刷ができることから、写真やイラストの印刷で再現度を高められるというメリットがあります。
また保存性も天然色素より優れ、比較的長くストックしておけるという特徴もあります。
可食インクは、天然色素の場合は紅花赤、アントシアニン、クチナシ、カカオ、クロロフィル、イカ墨などを使います。合成色素の方は、ほとんどがタール色素を原料としています。いずれも食品衛生法の基準を満たすものとして製造されているので、安全性については心配はいりません。
そのほかに食品用シェラック樹脂、多糖類、安定剤、乳化剤、強化剤、食用油脂なども使われています。これらの添加物も、食品衛生法で安全とされているものです。
可食インクは口に入れ、食べるもののため、賞味期限が設定されています。一般的には、天然色素インクの場合は3か月、合成色素インクの場合はそれより長く1年間とされています。天然原料のほうがどうしても賞味期限は短くなってしまうのが難点で、ストックしておくなら合成色素インクのほうが優れていると言えます。
可食インクの保管には、食品衛生法に基づいた十分な配慮が必要です。食品と同様に、正しい保管方法をチェックしておきましょう。インクによって保存・管理方法は異なります。インクカートリッジの場合は冷凍・冷蔵ができません。マイクロチップが故障してしまいます。ボトルに入っているものも、インクが分離してしまう可能性があるのでやはり冷凍は不可能です。
可食インクは、その含有成分によって使える印刷方法が違います。具体的には、含有成分によって粘度が違うため、同じインクジェット方式でも吹き付け方が変わるのです。例えば、コンティニュアス式なら、樹脂を多く含む粘度の高いインクを使うことができます。それ以外のサーマル式やピエゾ式には、そういったインクを使うことができません。
プリンターによって使えるインクの種類が変わるので、必ずメーカーの推奨するインクを使用しましょう。