洋菓子・和菓子店を悩ませているのが、原材料価格や人件費の高騰で損益分岐点を越えない赤字経営になってしまうことです。菓子職人からスタートして、ようやく構えた店をつぶしてしまっては取り返しがつきません。
人件費を含む原価率を下げていくために、付加価値を生みつつ業務効率化を行えるフードプリンターという設備投資を紹介していきます。
街の菓子店の利益率を考えるとき、商品の原価(原材料費)について考えることが必要です。
菓子店の原価率は比較的高いと言われています。TKC経営指標によれば、菓子店の損益分岐点は92.7%とかなり高い水準です。(令和3年7月決算~令和3年9月決算)
なお、商品の価格は、原材料費、賃料、人件費、光熱費、広告宣伝費、利益などから構成されます。
人件費は変動費としてはかなりの割合です。原材料の価格が高騰したとき、人件費率を削減できるアイディアがなければ、会社としての存続が危ぶまれます。
しかし、人件費を下げるということは、菓子店の経営者の報酬、菓子店勤務のスタッフの給料を下げることを意味し、現実的に難しい場合も多いでしょう。
人件費を下げる、といえば聞こえが悪いですが、人の作業効率を上げて、生産量が上がり、結果的に人件費の割合が下がる方法というのはあります。
フードプリンターは、効率化・生産力アップに力強く働きかけます。今まで菓子に人の手でイラストや文字を描いていた作業が必要なくなります。
代わりにセッティングや機械の操作という作業は発生しますが、生産できる量が単純に上がり、付加価値がつく商品に注力できるようになります。そのため、フードプリンターを導入することで結果的に人件費の削減が可能というわけです。
美味しいものを安く提供して、多くの人を笑顔にする…これも菓子店の醍醐味の一つですが、それだけでは立ち行かなくなってくるケースもあるのが事実です。
高付加価値の商品を作るためには、まず原価計算を行い、必要経費の計算を行った後、お客様から求められているものの価値を高めることになります。この「求められているもの」というのは、すでに店にあるとは限らず、潜在的な要望も含まれます。
つまり、今までの「もの」づくりから地域の顧客が喜びを感じる「こと」を追求することが大切です。地域の人が喜ぶ何かを商品に付加することを考えるとよいのです。
菓子店が、高付加価値商品の開発とコスト削減を可能にする方法に、フードプリンターを活用して、地域(あるいは店)のオリジナル商品を提供することが考えられます。
フードプリンターとは、写真や文字を菓子に印刷できる機械です。このフードプリンターの活用で、他店にない、地域の人に喜びを与える商品開発ができます。
量産ができる機械は比較的本体価格が高額ですが、喜ばれ、高い価値を感じてもらえる高額商品を作るために、重要な設備投資といえます。
高付加価値商品をフードプリンターで作ることで、効率的な作業とそれにかかる工数の削減を期待できます。フードプリンターを長期的に使用すれば、人の手で行っていた商品へのイラストや文字を入れることが必要でなくなり、その分の人件費がかからなくなります。その人により価値のある仕事に従事してもらうことができるのです。