未来の調理家電として注目されているフードプリンターは、画像を食品に直接印刷したり、立体的に食材を組み立てて調理をしたりすることが可能です。ここでは、フードプリンターの未来の可能性や展望について紹介します。
フードプリンターは、電子レンジや冷蔵庫と並ぶ家電製品として開発・普及が期待されている装置です。手作業で行っていた食材の加工や調理を自動的に行えるほか、未利用の食材を使ったり、栄養素を組み合わせたりといった手間のかかる部分の自動化が行えます。
フードプリンターは食材を組み合わせて加工をすることが可能なため、個人のデータをプリンターに送ることで、自動的に栄養学的な観点から適したメニューを生成することができます。データを送った個人に必要な栄養素を含む食材を選び出して、プリンターの中に食材を入れるだけで立体的なメニューができあがる仕組みです。
5年後、10年後には近未来の食が一般にも出回るようになり、家庭料理ならではの温かい料理の即時提供、単身者に多い炭水化物中心のメニューに偏る「個食」の問題もクリアできるようになると考えられています。
フードプリンターは、従来の調理器にはなかった「食のデジタル化」という今までにない価値をもたらすといわれています。
従来の食事は、忙しい人はコンビニエンスストアや弁当店のメニューに頼りがちになり、栄養が偏るという問題がありました。しかしフードプリンターを使えば、調理の手間がかからず人件費や調理時間を抑え、個人が目で見ても楽しめるようなメニューのオーダーメイド提供が可能に。
将来的にはAIやIoTによる農業生産と組み合わせたり(※1)、植物由来の素材で人工的な肉を調理(※2)したりするアレンジも検討されていますが、フードプリンターの活用はまだ初期の段階です。
生地に色や味の変化をつけて出力するなどの基本的な操作は可能ですが、実際の寿司のような「握り」を本物のようにプリントアウトする技術や、見た目の再現度向上やコストがかかる問題などをクリアしなければなりません。
しかし、食材を無駄にせず必要な量や栄養素を直接提供できるフードプリンターには、大きな可能性が眠っています。今後さらに技術が向上しプリンター内部の課題を解消することで実用化に近づいていき,フードロスの解消やレストランへの導入、被災地や介護福祉施設での活用も期待できるでしょう。
鮮やかな写真ケーキができる
おすすめフードプリンターを
チェック!
フードプリンターはすでに研究から実用化に向けた段階に差し掛かっています。すでに国内では業務用のフードプリンターが販売され、一般向けにもレンタルという形で提供されています。
2020年2月17日には株式会社電通の社内横断フードテック・プロジェクトから「サイバー和菓子(※)」と呼ばれる、気象データを反映させた和菓子が登場しました。風速の強弱や気圧、温度の高低差などのデータを反映し、風速が強いほど和菓子の表面に凹凸がつけられるような、ユニークな形状が特徴です。
このように、将来的には科学などと食を組み合わせて「目で見ても食べても楽しい」食事が可能になると考えられ、フードプリンター市場の動向はさらに注目されていくことでしょう。